Brasil x Brazil

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ブラジルと日本、どちらが「いい国」なのか

ブラジルに住んで早7年。生活にも当然慣れ、ふとブラジルと日本とどちらが「いい国」なんだろうと考えることがあったので、自分なりに比較してみました。

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これからブラジルで暮らす、ブラジルで暮らしてみたい、ブラジルに興味がある方にぜひ読んでいただきたいです。ブラジルが、天国でもなければ地獄でもない、でも、日本とはぜんぜん違う社会構造だということが理解していただけると思います。

もちろん、日本もブラジルも莫大な人口を抱える国なので、以下のことに当てはならないことが存在する事、「ステレオタイプ」時々「偏見」も入れないと、この話を語れないので、その点はご了承ください。

日本社会

日本社会の良いところ

とにかく社会全体が「均一的」だということ。

「均一的」というと没個性っぽくて、悪いイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。特にブラジル社会という、超格差社会の世界に飛び込むと、いかにこの「均一的」なことがすばらしい事か感じると思います。

日本の教育は色々いわれることがありますし、私自身も日本の教育が一概によいとは思っていません。でも少なくとも、生きるために必要な基本的な知識や一般的な社会常識・道徳概念をほぼ全員の日本人が学校で教わります。「時間を守る、借りたものを返す、約束をまもる」といった概念を日本人はちゃんと持っています。

東京大学と地方の名もなき私立大学、もちろん学生の知識レベルにかなりの差があります。それでも、ほぼ全員が「アナログ時計が読める、日本がどこにあるか・周辺にどんな国があるか分かる・アルファベットが読める」程度の知識は、日本人であればほとんどの人が持っています。

お金持ちと貧乏、もちろん日本にも両者存在します。でも日本でいう貧乏は「明日食べるものがない・着る服がない」という絶対的貧困(人間としての基本的な欲求をみたせないレベルの貧しさ)ではなく、「食べたいものを食べるお金がない、着たい服を買うお金がない」という相対的貧困(社会の平均的なレベルと比べて貧しい)がほとんどです。この相対的貧困者でも、公立の学校に普通に通うことができますし、先ほどかいた「生きるために必要な、基本的な知識や一般的な社会常識・道徳概念」を得ることはできます。最低限の学があるので、あとは自分が努力すれば相対的貧困から比較的容易に抜け出す(少なくとも平均的なレベルになる)ことができます。

身長の高い人・低い人、細い人・太い人。日本にももちろんいます。でも、周りを見渡して(持病以外で)超身長の低い人(例えば男性で150センチくらい)や超身長の高い人(例えば男性で190センチくらい)ってそんなにいなくないですか?文部科学省の統計を元にすると、20歳から29歳の日本人男性の平均身長は171.2センチメートルで、その前後6センチメートルあたり(165センチメートル~177センチメートル)の間に90%程度の人が入っているそうです。これは単なる一例で、外見的な面でも日本人は均一的です。そりゃそうですよね、97.9%が日本国籍を有する単一民族国家で、分類的にはほぼすべての人が黄色人種ですから。

日本の「平均」はレベルが高いです。ほぼ全ての人が同じような「常識」を持っていて、そこそこの生活レベルをそこそこの努力で維持できます。みんなそこそこの「知識」をもっていますから、そこそこ話ができますし、話があいます。外見的な面でも、ほとんどの人が似たような外見です。じろじろ見られることもありません。

あなたがその平均に含まれているなら、日本は本当にいい国だと思います。

日本社会の悪いところ

とにかく社会全体が「均一的」だということ。

良いところでもあるし、悪いところでもあるのがこの「均一的」なところ。

日本社会は、私は基本的には、ほぼすべての物事において横に太いダイヤモンド型の社会構造をしていると思っています。

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身長や年収や頭脳、生活レベルや常識の有無、ほとんどの人が(自分のイメージ的には9割くらいの人が)平均に属すると思います。そして、あえて上位を勝ち組、下位を負け組と書きました。

あなたがその分野で「勝ち組」ならもちろん問題はありません。平均組でも、周りにたくさんの「平均」がいるので不平等感はないと思います。

問題は、あなたがその分野で「負け組」になったときです。

周りにはほとんど負け組がいません。この時の社会からの疎外感は、負け組みがたくさんいるブラジル社会(後述します)では感じることのない感覚だと思います。

他にも、あなたが「平均的な」日本人とは違う意見や行動をとったとき、それが「平均的な」日本人から見てすばらしいとされるもの(=勝ち組)なら問題ないです。それが受け入れられないもの(=負け組)なら、社会からはじかれます。協調性がいつのまにか「空気を読む」に取って代わり、「空気を読む」は「他人に合わせる」になってしまった日本社会。日本で平均じゃないことは、社会から外れることと私は感じています。そして、日本はその平均じゃない、いわゆる負け組の人たちを「見て見ぬふり」をする冷たさもあると感じます。「自己責任論」にかこつけて、「自分の責任でそうなった」から、助けない・助ける必要がないと。

「自己責任」以外でも社会の枠から外れる事がある、社会全体でその「負け組」を作っているという事実に、平均的な社会で暮らしているとなかなか気付くきっかけがないんだろうなと思います。

ブラジル社会

ブラジルの良いところ

 日本とは逆で「多様性」があることです

ブラジルは日本とは違って何もかもが平均でくくれるような国ではありません。

神様かと思うほどやさしい人もいれば、盗みをおかすことに何も感じない人もたくさんいます。超大金持ちもいれば、今日の食べ物を買うお金に困っている人もたくさんいます。ものすごい頭のいい人もいれば、自分の国がどこにあるか地図で指せない・時計もよめない・東西南北すら知らない人も本当にたくさんいます。「約束は守る・借りたものはかえす」といった常識を持っている人もいますし、その一方でそれすらない輩も大量にいます。背のとびっきり高い人もいれば、めちゃんこ低い人もごろごろいます。白人もいれば黒人もいます。アジア人もいます。インディオもいます。混血も世界で一番すすんでいるといわれています。

その全てが社会の一部として構成されています。(歓迎されているかは別の話ですが)

ブラジルの社会は、ほぼ全ての分野において底辺の非常に長いピラミッド型をしていると思います。

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年収や頭脳、生活レベルや常識の有無、ほとんどが下位層に属します。

ブラジルでいう下位層とはなにか。

例えば生活レベル。下位層の上位で「最低限の衣食住には困らないし、時々必要最低限以外のものにもお金が出せるが、何かアクシデント等で急な出費があったら、一気に生活が困窮する」レベル、下位層の中位で「最低限の衣食住はまかなえているが、急な出費があったら生活が困窮する、必要なもの以外はほとんど買えない」レベル、下位層下位で「最低限の衣食住の維持も、相当の努力が必要」なレベルです。

ここまで書くとお分かりかと思いますが、ブラジルの下位層は日本で言えば「絶対的貧困」にあたります。日本の生活レベルでいう「負け組」が「相対的貧困」なのとはかなり違いますね。

知能でもそうです。自分たちが「ポルトガル語」を話していると理解していない人も結構います(ブラジル語だと思っているという(笑))。もうびっくりするくらい「基本的知識」が欠如している人がごろごろいます。※ブラジルは公立の教育機関のレベルが低いので

でも、この下位層の人たちが悲観的かというとそんなことはありません。そもそも下位層が大量にいますので、社会からの疎外感は全くありません。下位層なりに暮らしていくため、家族・親族の大きな単位で生計を立てているので、人と常にかかわりを持って生きています。気にかけてくれる人がいます。「自己責任」ではなく、「社会」がこの状況を作っていると思っているので、人に助けの手を差し伸べます。

貧乏でもお金持ちでも、天才でもあんぽんたんでも、アジア人でも黒人でもインディオでも、背が低くても高くても、平均なんてないこの国では、どんな人にも社会に居場所が必ずあります

ブラジルの悪いところ

「多様性」がありすぎること

本当にこれにつきると思います。常識が通じない、話が通じない(話に納得できないという意味ではなく、無知ゆえに理解できないという意味)が下位層中心に大量にいます。日本のように「相手もこういう常識をもっているだろう」ということを前提に話が進められないのです。例えば、お金を貸したとき、「来週水曜日までに返す」という話で貸したとしても、その水曜日になったとき「そんなこと言ったっけ?今はないからいつか返すよ」なんて事になるのは日常茶飯事です。

そして、下位層の人たちはこの状況が自分たちのせいではなく「社会」のせいだと思っているので、自分たちより上位にいる人たちから姑息な手を使って彼らがもっているもの奪うことにためらいがありません。オポチュニスタ(日和見主義者)がたくさんいます。

こんな人たちが大量にいるので、中位層以上の人たちは下位層の人たちとかかわりを持ちたがりません。下位層だと思われたくない・かかわりたくないので、中位・上位層の人たちは必要以上に見栄をはります。無理やり家計をやりくりして高級車を買う、ブランド品を買う、日本でいう成金的な人が中・上位層にはたくさんいます。そして、中位・上位層の人たちにとっては、そんな見栄は自分たちの生活を守る防衛手段であり、必要悪なのです。

先ほど全てが社会の一部として構成されていると書きましたが、各階層ごとで社会が隔離されているので、階級差別があります。下位層で生まれたら、中位・上位層にあがろうと思うと相当な努力が(時には運も)必要になってきます。そもそも下位層は公立の学校に行くことになるのですが、公立の学校のレベルが、中位・上位層以上がいく私立の学校とは差がありすぎて、其の段階で知識レベルで相当の差がついています。中・上位層以上がつく仕事は「コネ」が必要なことが多々あるので、公立校出身で頭脳明晰だとしても、その仕事を得るきっかけさえもらえないこともあります。

あとは、治安の悪さ格差社会に起因する犯罪が多発しています。これについては、言わずもがなですね(笑)

結局どっちがいい国なのか

 あなたが日本で言うところの「平均的な人間」であれば、日本はとてもいい国だと思います。平和ですし、犯罪率も低いです。平均的な生活レベルも高いです。

でも、「平均的な人間」であることに閉塞感や疲れを感じるのであれば、日本をでてブラジルに暮らすというのもひとつの手だと思います。

あと、経済的に成功を収めたいという大志がある人も、ブラジルはお勧めです。ブラジルは社会・経済がまだ成熟していなくて、ビジネスのチャンスはたくさんあります。ブラジル経済全体はぐらぐらと赤信号がともっていますが、内需が大きく、ブラジル人相手の商売であれば、まだまだチャンスがあります。

私はブラジルで主人と一緒にビジネスを営んでいますが、少なくとも日本やオーストラリアで暮らしてたときより、楽にいい暮らしを送ることができています。

 

リタイアしてからもこの国で暮らしていくかはまだ決めていませんが、少なくとも娘が自立するまではこの国で生きていこうと思っています。私は日本でいう「平均的な人間」になれない部分が多々あり(外見的な部分でも、内面的な部分でも)、ブラジルの方が気楽で居場所があると感じることが多いからです。人生の半分以上を海外で生きてきたというのも影響しているかもしれません。日本は愛してやまない母国ですが、私にとってはブラジルの方が生きていくうえで「いい国」です。

娘がどちらを選択するかはまだわかりません。

どちらを選択するにせよ、どちらの社会にも上手に適応できるように、バイリンガル教育をがんばっていきたいと思います。