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住みたい街、住みたかった街
ブラジルに住んで8年になります。
ブラジル南部の田舎町での生活を気に入ってますが、ここが自分の「住みたい街・住みたかった街」かといわれれば、そうではありません。
私の「住みたい街・住みたかった街」は小田急沿線にある「相模大野」という所です。
最近の相模大野は、駅前の再開発もあり、特に家族連れには住みやすい街となっているようですが、私が住んでいた当時は、単なる新宿や横浜への通勤・通学のベッドタウンという域をでていなかった気がします。私の記憶にある相模大野は、便利だけどちょっと冴えない街という感じです。
それでも「住みたい街・住みたかった街はどこ?」と聞かれれば、間違いなく私は「相模大野」と答えます。
家族連れに優しい街になったから、新宿や横浜へのアクセスが良好だからといったことだけではありません。私にとって、家族全員で暮らした思い出がある唯一の日本の街であり、一番長く過ごした街でもあるからです。
相模大野での思い出
退屈だった相模大野
私は大阪で生まれましたが、ちょうど私が小学校に上がる年、父の海外勤務がきまり、家族全員で海外へ引っ越しました。※大阪では家族みんなで暮らしていたのですが、まだ幼かったのもあり、大阪で過ごした記憶は正直あまりありません。
その後、私が中学校に上がる年に日本へ帰国し、父の勤務地と兄達の学校の両方へのアクセスが良かった相模大野へ住むことになりました。
久々の、日本。相模大野での家族との生活。
再開発前であった当時から、相模大野駅前はそれなりに栄えていましたが、正直「物足りない」と退屈していたのを覚えています。
中学校に入れば、行動範囲も広がります。まして、小学校6年間は(治安の関係で)自由に出歩けない環境にありましたから、その反動か色々なところへ行きたくてしょうがなかったのです。相模大野の隣の町田は(現在は知りませんが)、相模大野よりたくさんのお店がありましたし、ちょっと遠出して新宿や横浜へ行けば買い物や遊ぶところの多さは相模大野と比べるまでもありません。そういった所に、友達と出かけることが本当に楽しく、相模大野は自分の中で「物足りない街」になっていったのです。
とはいえ、なんだかんだで好きだった相模大野
そんな風に、中学校3年間を家族と一緒に相模大野ですごした後、高校3年間は留学のため日本を離れました。そして大学進学のために戻ってきた日本で、私が選らんだのはまたも相模大野(笑)。
すでに兄達は進学等で家を出ていましたし、両親は大阪の実家に戻っていました。相模大野にはすでに家族はいませんし、進学した大学へ比較的アクセスしやすかったとはいえ、他の街を選択することも可能だったのにも関わらずです。
便利とはいえ、都心からは少し距離がある相模大野。飲み会やバイトが終わったあと、相模大野までの最終電車を逃すまいと、小田急新宿駅の階段を必死で駆け下りたことは数しれません。その都度「なんでこんなに新宿から遠いんだ」とかブツクサ文句を言っていたのにも関わらず、相模大野を離れなかったのは、なんだかんだで、そこそこ便利で住み慣れたこの街が気に入ってたんだと思います。「物足りない」といいつつ、家族との思い出のあるこの街が好きだったんだと、今になって気付かされます。
相模大野が私の帰る街
そして、大学を卒業・就職してすぐ、海外勤務を命ぜられまたも海外生活。そして、人生とはわからないもので、何がどうなったのかブラジル人と結婚し、現在はブラジル南部に住んでいます(笑)
人生の半分以上が海外暮らしとなってしまいましたが、海外にいる時間が増えればふえるほど、わたしのルーツは日本にあり、私は日本人で、私の帰る場所は日本だと強く実感するようになりました。そして、私にとって日本の帰る街といえば、家族と過ごした思い出があり、7年ほどすごした相模大野以外思いつかないのです。
相模大野にいた当初は、そこが「住みたい街」だと考えたことはありませんでした。でも、日本から遠く離れた今、もし日本でまた過ごすことができるなら、たくさんの思い出がある相模大野に住んでみたいです。
住みたい街・住みたかった街がある幸せ
さて、今住んでいるブラジル南部の田舎。一応、街の中で生活の大体のことが事足りるとはいえ、特にこれといった特徴のない街です。
娘(7歳)がいますが、きっと年頃になったらこの街を出たがるだろうな、と思っています。私が中学校のころ相模大野に感じたように「物足りない」という感情をいだくと思っています。
娘が将来、ブラジルのほかの街で暮らすのか、日本へ行くのか、はたまた全く違う国の違う街へ行くのかはわかりません。
どんなところへ行ったとしても、今暮らしているこの街を、将来「住みたい街・住みたかった街」と思ってくれたらいいなと思っています。私にとって相模大野がそうであるように、ふと故郷を思い出して、またあそこに住みたいなと思えるような、温かさを感じる街であってくれたらなと思っています。
住みたい街・住みたかった街があるって、そこに思い出や温かさがあるということ。遠く離れた国にいるからこそ、それってとても幸せなことなのだなぁと改めて思うのです。
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