ブラジル日系社会の「コロニア語」
ブラジル・コロニア語って何?
先日ツイッターをいじっていたところ、こんなツイートを見ました。
ブラジルの日系社会には、ポルトガル語と古い日本語が混ざったコロニア語がある。
— カエル🇧🇷ポルトガル語 (@blogpornan) February 12, 2020
「オニブスがパッサした(バスが通り過ぎて行った)」「あんた、このカデイラにセンタしなさい(こちらの椅子におかけください)」とか。↓#ポルトガル語 #コロニア語 #ブラジル #日系社会
※解説すると、ブラジルポルトガル語で《オニブス=バス、パッサ=すぎる・通る、カデイラ=椅子、センタ=座る》になります。
ブラジル・コロニア語とは、このツイートの通りポルトガル語と古い日本語が混じった言語のこと。ブラジル日系社会の大切な文化でもあります。
ブラジルには(日本を除く)世界最大の日系社会が存在します。
110年ほど前に、日本からブラジルへ移住してきた日本人たちが、現地と同化するなかでうまれたのがこのコロニア語なのです。
主に日系2世や、2世の親と話す3世は、家の中でこんな喋り方(=コロニア語)をする事が多いようです。
※コロニアとはブラジル日系社会の名称です
ブラジル・コロニア語は「ルー大柴のポル語バージョン」
私には7歳の娘がいます。ブラジル人の父、日本人の母(私)をもつ日伯ハーフで、ブラジルで生活しています。
小学校にいきはじめて、私の娘もこんな喋り方をすることが多くなってきました。
あー、わかるわかると思って何気なくリプをみていたところ、かなりの衝撃をうけるリプが。
ルー大柴のポルトガル語バージョンですよね😂
— aki (@angelica107) February 12, 2020
、、、ルー大柴のポルトガル語バージョン!
そう。私の娘は、ルー大柴化してきていたのです。
私は、娘は日本語ポル語のバイリンガルに育って欲しいと思っています。
コロニア語を話してほしいわけではありません。
言語はたんなる手段でしかありませんが、母語レベルの言語を2つ3つもっていることは、それだけで社会で生きていく大きなアドバンテージになります。
ですから私と娘の会話は、日本語だけにするようにしていましたし、できるかぎりの読み書きも教えてきました。
それなのに、私の娘はルー大柴になってきているのです。
なぜ【ブラジル・コロニア語】になってきているのか?
バイリンガルとは
娘のルー大柴化の原因を考えるまえに、まずは「バイリンガルって何?」ということを考えます。
バイリンガルと1口にいっても、そのレベルは様々です。
母国語レベルの言語が2つある人
母国語の他に、もう1つ(あるいは複数)言語が流暢にあやつれる人
母国語のほかに、口語に限定すればもう1つの言語が母国語レベルである人
このほかにも色々なパターンがあり、バイリンガルの定義付けは難しいです。
※母国語と言語が流暢であることの違いは、言語能力そのものより、その言語に紐づけられた文化や習慣、考え方を理解しているかどうかの違いだと思っています。
バイリンガルになる条件
さて、バイリンガルといっても様々ですが、バイリンガルになる条件っていったいなんでしょうか?
バイリンガルが「母国語レベルの言語を2つもつ人」と定義づけるなら
1)幼少期から青年期に入るあたりまで、居住国の言語と家庭内の言語が違うこと
→言語が定着するまでの間、2ヶ国語をバランスよく、でも混在させない
2)家庭内の言語を教える立場の人が、その言語を母国語とすること
→言語に紐付いた文化や習慣も教えられること
3)家庭内言語を使用・勉強する時間が、毎日一定時間以上あること
→年齢があがるにつれ、居住国の言語を使用する機会が増えるので、常に家庭内言語は使用していないと、居住国の言語の方がずっと強くなります
がポイントかと思っています。
※あくまでアマチュアである私の意見です。オーストラリアやフィリピン・そしてここブラジル等で色々な2ヶ国語ミックスの子達をみてきましたが、母国語レベルで2ヶ国語をあやつる子は、この条件である事が多いと思います。
私の娘は上の3つのポイントをだいたいみたしています。
1)学校や社会ではポルトガル語、家庭内は日本語
2)娘に言語を教える私は日本人で日本語が母国語。生活習慣等も日本人のもの。
3)日本語でテレビを見たり勉強したりして、毎日2~3時間は日本語を使用
「だいたい」満たしているとしたのは、家庭内でブラジル人である主人と3人で話すときはポルトガル語になるからです。※主人は英語+ポルトガル語使用者で、日本語は理解できません。
娘は、なぜ【ブラジル・コロニア語】になってきているのか?
さて、私の娘はバイリンガルになる条件を満たしているはずなのに、なぜルー大柴になってきているのでしょうか?
私は単刀直入に娘に聞いてみました。
「なぜ、ママと話すときにポルトガル語を混ぜるの?」と。
娘は答えました。
「だって、ママだってそういう風に返事するじゃん」
、、、、そう。答えは単純。ママ(私)もルー大柴だったのです。
私の周りには日系人はおろか日本人もいません。日本語を使うのは、こうやってブログやツイッターを使うときくらいです。英語や日本語ほどではありませんが、ブラジル生活8年目の今、ポルトガル語もそれなりに上達しています。
言われて見れば、娘がポルトガル語に触れる機会がふえ、コロニア語で話してくる事が増えたのですが、それにつられて私もルー大柴になってた気がします。無意識ではありましたが、ポルトガル語が上達するにつれ、ポルトガル語と日本語の境目が曖昧になってきて、コロニア語で返事していることに気付いていなかったのです。
私も私の娘もルー大柴になっている、、、、そんなのは嫌すぎます。
※ルー大柴さんをディスるつもりはなく、とても知性ある面白いかただと思いますが、多分自分の娘がルー大柴さんになってほしいとは思わないと思います。
バイリンガル教育とブラジル・コロニア語
バイリンガル教育、家庭内言語の徹底を
ブラジル・コロニア語はブラジル日系社会の重要な文化だと思います。ただ、日本でも通じる日本語を覚えるという点では、やっぱり使ってはいけない言語なのだと思います。
バイリンガル教育での、家庭内言語の徹底はよくいわれることですが、ツイッターでの気付きから、あらためて大事なことなのだとわかりました。
意識的に、娘と話すときは日本語のみ!を徹底していこうと思います。
まとめ
というわけで、ブラジル・コロニア語と、それを通じてのバイリンガル教育の考察でした。
子供をバイリンガルにさせたいと思っている親は多いと思います。
日本でも、幼少期から英語教育をしている人はたくさんいると思います。でも、英語を教える過程で日本語が混じっていませんか?
ルー大柴化していませんか?
「そこのチェアーにすわろうね」とか「レッドのペンをとってね」だのなってませんか?
自戒も含めて、家庭内言語(あるいは日本で英語教育をするなら教育言語)の徹底をおすすめします。
日本ブログ村に参加をはじめました。ポチっとしていただけると、うれしいです!