※2020/5/23追記
この記事を書いたときは、以下のニュースはフェイクニュースでした。ですが、5月23日現在、ブラジルではコロナウィルス感染がひろがり、すでに①の内容は事実になっています。
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昨日、日本のテレビを確認していたところ信じられないニュースを見ました。
FNNの報道で【感染者が連日1000人超 ブラジルで広がる混乱 目を疑う惨状「絶望的」】というものです
↓こちらがそのニュース
私はブラジルに住んでいます。
このニュースはフェイクニュースおよび印象操作がなされています。
あまりにも酷く、そしてFNNのゴミっぷりが腹立たしかったので、どこがフェイクニュースなのか、どこが印象操作なのか記事にしてみました。
言及する価値も無いゴミ報道だとは思いますが、他国の現状を全く把握せず「絶望的」と煽り視聴者の注目をひきつけるやり方はあまりに汚いと思います。
ニュースの内容要約
※上記リンクから映像が見られるので、ぜひ見てみてください
①コロナで亡くなった人を埋葬するために、大量の穴が掘られている
これは、上記リンクのトップ画像にも使われているものですね。
このニュースによるとコロナ感染で死亡した人を埋葬するための穴だそうです。
これが本当だとしたら、衝撃的ですね(後で説明します)
②「ブラジル」で感染者激増
3月20日の感染者793人に比べると、4月9日には1万6195人にのぼり連日1000人超が感染していると報道しています。
これは事実ですが、大幅な印象操作がされています(後ほど解説します)
③街はゴーストタウン化
ニュースによると、商業施設は閑散とし銀行までもが営業停止になっていると伝えています。これも事実ですが「絶望的な状況」として伝えるのは間違いで、印象操作といえます。(後ほど解説します)
④連日、ボルソナロ大統領にたいして抗議活動が行われている
これは「パネラッソ」と呼ばれる、夜8時に「パネラ(鍋)」を叩いて政府へ抗議する活動です。まるで「ブラジル国民全員」が猛抗議しているような印象ですね。これが事実の切り取りで無いとしたら。(後で解説します)
どこがフェイクニュース・印象操作なのか~事実の確認~
①コロナで亡くなった人を埋葬するために、大量の穴が掘られている
ブラジルでは亡くなった人は(基本)土葬されます。
毎年雨季がすぎ、土が軟らかくほりやすくなったこの時期(3月4月ごろ)に、土葬のための穴をほります。
もちろん、その穴に埋葬される遺体にはコロナに感染してなくなった人もいるでしょうが、コロナウィルスでなくなった人を埋葬するために穴を掘っているわけでは絶対にありません。
そもそも土葬の習慣がなく、またその穴の数を見るとビックリしますが、これは間違いなくフェイクニュースです
※これの元ネタはブラジルテレビ局のドキュメンタリーです。このドキュメンタリー自体がフェイクニュースです
サンパウロ市長からも声明が出てます↓
②「ブラジル」で感染者激増
これは一部事実です。
ですが、かなりの印象操作といえます。
なぜならサンパウロ=ブラジルという認識で報道されているからです。
下の表をみるとわかるとおり、サンパウロ州・セアラ州・リオデジャネイロ州で感染が拡大しているのは事実ですが、その他の州ではかなり感染は抑えられています。
ブラジルは日本の約23倍の国土を持つ広大な国です。
サンパウロ州だけで日本の本州と同じ位の面積があります。
このニュースだけを見ると、まるでブラジル全体で感染が激増しているような印象をうけますが、サンパウロ州等の一部の州だけですし、そのサンパウロ州内でもまったく感染が広がっていないところもあります。
そもそも連日感染1000人超といっていますが、ブラジルは検査をしていますし、そもそも人口も日本の2倍ほどあるということも忘れてはいけないと思います。
出展Covid-19: Brasil tem 941 mortes e 17.857 casos do novo coronavírus
③街はゴーストタウン化
サンパウロの町の状況を取材していますが、この映像がとられた4月6日は、サンパウロ州は緊急事態宣言下にあり、必要最低限のサービスや店舗以外は閉鎖していました。
街が死んだようになっていますが、それはそうです。
だって、経済活動自粛中ですから。
それに、この取材をした場所はパウリスタ大通りと呼ばれるオフィス街であり、生活に必要不可欠なもの(スーパー等)がある場所ではないんです。
そもそも考えてみてください。世界中で多くの国がロックダウン・自粛政策をとり、このような状態になっているんです。コロナウィルス感染の押さえ込みのため、街から人がいなくなっているのは、「絶望的な状況」などではなく「感染拡大を防ぐための施策がとられている」ということなのです。
完全に印象操作といえると思います。
日本はゆるい経済活動自粛をして、ピークを低く長くもっていく方針のようですが、ロックダウンや制限の厳しい経済活動自粛がとられれば、日本もこういう状況になるんです。※日本はロックダウンをしても人々の行動が制限できる法がないという声も聞きますが、、、
④連日、ボルソナロ大統領にたいして抗議活動が行われている
パネラッソ(鍋をたたいて大統領に抗議する)が行われているのは事実です。それと同時に、大統領を支持する活動も行われています。
※ブラジルメディア(どのメディアも基本左派です)もボルソナロ大統領(極右)の失言だけを大きくとりあ げる事が多いので、日本メディアだけの責任ではありませんが。
ボルソナロ大統領が失言や奇行が多いのは事実です↓
ですが、ブラジルメディアは左派で反政府です。その報道にはあまり中立性がありません。
そして、そのブラジルメディアの報道を、まったくなにも確認せずに報道しているのが日本のマスゴミです。
抗議活動を報道するのであれば、支持活動も報道するべきであり、中立性を欠いています。
まとめ
いかがでしたか?
このニュースをみた日本の私の両親は心の底からおびえていましたし、心配もしていました。それはそうですよね。このニュースだけをみたら、ブラジルは「絶望的」と誤解するのも無理はありません。
このコロナを通じて思うのは、日本のマスメディアのレベルの低さ。誤報・フェイクニュースを堂々とたれながしたのはこれが初めてではありません。
↓例えばこれ
コロナウィルスのニュースを語るのに、専門的知識の無いコメンテータが喋っているのもよく見ます(少なくとも、ブラジルでは医師や感染症に知識のある人がコメントをだします)
ブラジルのコロナウィルスを巡る状況は決してよいものではありませんが、それでもブラジル国民は比較的おちついて行動していますし、日本のような買い占めもありません。
サトウキビ生産大国だけあり、アルコール70%も市場に普通に出回るようになりました。※ブラジルは、サトウキビ由来のエタノールを燃料に車やバイクが走っているんですよ!
貧しい人の多い国ではありますが、食べ物等の寄付はすでに盛んに行われており、助け合いコロナを乗り切ろうとしています。
私はブラジルに住んでいて、ブラジルのことが大好きです。時々むかつきつつもブラジル人のことも大好きです。
どこぞやのフェイクニュースたれながしのバカメディアに、「絶望的」なんていわれる筋合いはありません。
早くコロナがおさまり、通常の生活にもどりたいものです。
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