2020年4月12日、世界中でコロナウィルス感染の脅威が広まっています。
日本はもちろん、世界各国でコロナウィルス収束にむけ様々な政策がとられています。
ここブラジルも、州政府単位で緊急自粛宣言を出し、経済活動自粛に入っています。
そんな中、昨日4月11日夜、4月12日昼サンパウロで経済隔離政策を行う州政府に対して大規模デモが起こりました。
ニュースになっているのはサンパウロだけですが、実はブラジル各地で(規模の差こそあれ)隔離政策反対デモがおこっています。
2割ほどの人が自粛政策反対という調査もあります
日本のツイッターやヤフーのコメント等を見ると、「コロナの怖さがわかっていない」や「大統領があんなだから(※)、、、」といったものも多いです。
※ブラジルの大統領ボルソナロ氏は、経済推進派でコロナ軽視発言が問題視されています。
今回は、ブラジルのコロナをめぐる現状と、なぜこれだけの規模でコロナ自粛政策反対デモが起ったのか説明します。
コロナ自粛政策反対デモがおこった背景
われわれは働きたい
ブラジル🇧🇷サンパウロ
— パパガイオ🇧🇷しこたま手を洗うブラジル生活8年目 (@BrasilxBrazil1) April 12, 2020
自粛政策への抗議デモ
デモ参加者を非難する人は多いだろう
だけど国内の99%が零細・小企業で成り立つこの国の経済に、自粛政策を続ける体力は無い
コロナ感染で死ぬが多いか、経済混乱で死ぬが多いか
みんな自分の命や生活を守ろうと必死なんだ#ブラジル #コロナウィルス https://t.co/UMixZBz4fw
これは昨日私がツイートした内容です。
コロナ自粛政策反対者のデモを取材したツイートに対してのRTです。
ブラジルは州単位でクアレンテーナ(外出禁止令)がしかれ、事実上の経済活動自粛に入っています
私もコロナウィルスの脅威を軽視すべきではないと思います。デモも他にやり方があったとも思います。
ただし、ツイートにも書きましたが、
国内の99%が零細・小企業で成り立つブラジルの経済に、自粛政策を続ける体力は無い
のです。
私の町は自粛生活3週間目ですが、街中心部の個人商店は、それなりの数がすでに潰れています。日本は「給付金を全員に配れ」云々でもめてるようですが、ブラジルはそういうレベルの話ではありません。数日の売り上げがないだけで潰れる店や、明日の食べ物に困る人も大勢いるのです。
止まることは死
私のツイートに対して「経済的貧困も嫌だけど、それは誰かに相談すればなんとかなる。だけど身体がダメージをうけたらもう手の施しようがない」とレスをいただきました。
その通りだと思います。
日本のような先進国では。
ブラジルは南米1の経済大国で比較的豊な国に分類されます。ですが、国内の貧富の差はとてもはげしく、多くの人が日本でいうところの「絶対的貧困(基本的な欲求をみたすことができないレベル)」に近いところにいます。「経済的貧困は嫌」というレベルではないのです。
「貧困=餓え=死」に近いんです。
貧困層やファベラ(スラム街)では、既に餓えが始まっています。市は基本的食料を配給したり、人々で助け合って生きています。食べ物の寄付もさかんで、↓こういった助け合いも行われています。
🇧🇷サンパウロ州オザスコのパン屋さん
— パパガイオ🇧🇷しこたま手を洗うブラジル生活8年目 (@BrasilxBrazil1) April 9, 2020
コロナの影響を受けて収入がなくなった人のために、無料でパン🍞を提供
こういうニュースを聞くと世の中捨てたもんじゃ無いって思えるよ😭#ブラジル #コロナウィルス https://t.co/buspVsQrPm
「今のところ」助け合える状況です。
でも、これがあと数ヶ月も続いたら、そうも言ってられないのです。
治安の悪化、暴動が起こるのも時間の問題で、コロナで死ぬのが多いか、経済的混乱で死ぬのが多いかという事になってきます。
ブラジルのボルソナロ大統領は、日本のメディアでも最近よくとりあげられてるようなので、ご存知の方もいるかもしれません。経済優先の大統領で、コロナ軽視発言等問題も多く、州で行っている自粛政策を非難しています。
※ボルソナロ大統領のコロナへの対応等ブラジルの政局については以下の記事を読んでください。
※記事準備中
ですが、彼の言うことは100%間違っているわけではないのです。
この国では「止まることは死」なのです。先進国の人々は、この自粛政策反対デモを「コロナ軽視」と非難するでしょう。大統領を「奇人・奇行」と表現するメディアを見たこともあります。私も大統領の発言は国家元首としてふさわしくないと思いますし、それを支持するわけでもありません。
でも、経済的体力がない国とある国を比べることがナンセンスであること、また、広大な国土や人口をこの状況下でコントロールすることがいかに難しいかという事も知っておくべきかと思います。
州と国/右派と左派の対立
今回のデモ、純粋に自粛政策反対という意味だけではありません。
ブラジル国民は、ボルソナロ(極右)を支持する右派と、前政権PTを支持する左派で二分されています。
また、経済政策を優先し自粛政策を非難する国(=ボルソナロ・右派)と、自粛政策を強行する州という対立もあります。
今回のデモの参加者の多くは右派でボルソナロ大統領支持者です。
コロナにかこつけた、右派左派の争いの一部でもあります。
ブラジルのコロナをめぐる現状
死亡者数・感染者数
4月9日時点では州別の死亡者・感染者は以下の表の通りです。
サンパウロ州・リオデジャネイロ州・セアラ州で感染の広がりが見られますが、それ以外の州は持ちこたえている状況です。
サンパウロ州に関しては、感染の拡大がかなりのスピードで進んでおり、医療崩壊を起こしているとするむきもあります。
出展Covid-19: Brasil tem 941 mortes e 17.857 casos do novo coronavírus
コロナに対する動き
州政府単位で緊急事態宣言をだし、経済活動自粛・外出禁止令を引いているところがほとんどです。
生活に必要不可欠なサービスや商店はひらいており、物流も問題ありません。
日本のように買い占め等もほぼおこっていません。比較的おちついて行動しているように感じます。
コロナに対する政府の対応
受給の条件は厳しいですが、貧困層へ月600レアルの給付をしています。※600レアル=約18000円
また、企業に対しては税金の支払い延長や、低利子での貸付等を行っています。ただし、先ほども書きましたが既に多くの店がつぶれています。十分な支援がいっていないということですね。
まとめ
以上、ブラジル・コロナ自粛政策反対デモがおこった理由を説明しました。
国の規模・人口・生活習慣等で、コロナの対応は各国で違って当然だと思いますが、ブラジルは適切な対応方法をまだ見つけられていません。
このまま続くと、経済混乱をもとにした暴動や餓えで本当にコロナ以上に死者がでるかもしれません。
早くコロナが収束にむかうことを祈るばかりです。
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