最近ニュースを見ていますか?ニュースを見ていて幸せになりますか?
私はなりません。
戦争だの、政治家の汚職だの、森林破壊だの、悲しくなるニュースが多い気がします。
正直、悲しいニュースを聞くのは(個人的に)もうウンザリしているので、今回は、最近気になったブラジル発の優しいニュースを5つお届けします。
これを読めば、ちょっとは世界って捨てたもんじゃないかも。。。と思えるかもしれませんよ。
ブラジル発の優しいニュース5選
1)大学教授、赤ちゃんをあやしつつ授業をする
赤ちゃんのお世話は大変ですね。それが、大学の授業を受けながらとなるとなおさらです!
Danny miresさんは、ブラジル・ピアウイ州テレジニャ市にあるFacid Wyden大学で生物学を学ぶ学生です。生後5ヶ月の女の子・Eloaちゃんの母親でもあります。
Danny miresさんは、Eloaちゃんを生後20日から大学へ連れて行き、一緒に授業を受けています。つい先日、Eloaちゃんが、大学の講義中にとても興奮してしまったことがありました。それを助けたのが、同大学で教授を務めるYuri Cláudio Limaさんです。
Yuri Cláudio Limaさんは、Danny miresさんからEloaちゃんを受け取ると、あやしつつ授業を進めました。
これに感激したDanny miresさんは、こっそりその様子を撮影。インスタグラムでシェアしたところ、あっと言う間に拡散。1000を超えるコメントが集まりました。
Danny miresさんは「大学の全ての教授が(赤ちゃんを連れて)授業を受けることに協力してくれていますが、この日のYuri Cláudio Limaさんには感銘を受けました」と話しています。
↓授業での様子。赤ちゃんがぽかんと教授を見ているところが可愛いです!
→日本だったら、「授業の邪魔」とか「大学生で妊娠なんてありえない」とかなりそうなこのニュース。
一応補足をしておくと、ブラジルでは基本的に人工妊娠中絶は違法です。キリスト教国家ですからね。自立する前の若い年齢での妊娠に賛否はあるかもしれませんが、この若い女性の将来をみんなで支えている状況に、感動しました。
2)お菓子の会社、たった一人の自閉症児のために、クッキーの再生産をきめる
主婦であるAdriana Paixãoさんは非常に困難な状況におかれていました。
彼女は、Davi君という10歳の息子がいます。Davi君は自閉症で食べ物に対して非常にこだわりをもっています。両親はDavi君の食生活に対して、常に苦悩をしていましたが、唯一Vitarella社のTrelosoというクッキーだけは問題なく食べることができ、Davi君は長年にわたって主食ともいえるものになっていました。
ところがある日、Vitarella社のTrelosoのクッキーの製法と形が変わってしまったのです。それに気付いたDavi君は全くクッキーを受け入れられず、困り果てた両親はVitarella社に相談しました。すると、Vitarella社はDavi君のためにクッキーの製法と形を元に戻してくれたのです!
このことについてAdriana Paixãoさんは「たった一人のために、製法を元に戻してくれました。またいくつかのクッキーも送ってくださいました。自閉症児であるDaviにとって、Vitarella社のTrelosoのクッキーを食べることは日常生活のルーティンを送る鍵となっており、それが変わるのは大変なことなのです。私は毎日、他の食べ物をDaviの食事に取り入れようと努力しています。しかし、それをするためにもVitarella社のTrelosoのクッキーは必要なのです。Vitarella社はそれを理解してくれました。」と感謝をのべています。
↓Vitarella社のTrelosoのクッキーと、Davi君・Adriana Paixãoさん
→とりあえず、それなりの大企業が一人の子供のために動いたということ、本当にすごいと思います。もちろん企業の宣伝のため、という見方もできますが、個人的には「弱者に優しい国・ブラジル」らしいなーと思いました。
骨折したとき、妊娠していたとき、乳幼児を連れて外出したとき、ブラジルでは本当に周りの人が助けてくれました。「民度が~」「治安が~」と叩かれる事の多いブラジルですが、私はブラジルで生活できて幸せです。
記事引用元Fábrica volta a produzir único biscoito que menino autista gosta de comer - Só Notícia Boa
3)カーニバルパレードを開催しないことを英断→教育と医療を再建させる
スピリト・サント州Colatina市の市長 Sérgio Meneguelliは2018年に難しい決断をしました。ブラジルの一大イベントである、カーニバルを開催しないことを決定したのです。
※日本ではカーニバルというと「リオのカーニバル」が有名ですが、毎年2月くらいにブラジルの各都市・市町村単位で大小様々なカーニバルが開催されています。
その理由は、カーニバルに使うお金を教育と医療にまわすため。
Sérgio Meneguelli氏は「許してほしい。皆さんの娯楽を奪うのは心苦しいですが、それは短い期間であると約束します。カーニバルを開催するには、約200万レアル(約6000万円)を費やさなければならず、今はその時ではありません。」とコメントし、カーニバルをキャンセルしました。
そして、そのお金で実際に学校を建て、医療現場の質を回復させています。
Sérgio Meneguelli氏は、自身も公立の無料の診療所で医療を受け、低所得者向けの昼食プログラムで、市民と一緒に食事をとるなど、珍しいタイプの市長としてブラジルで知られるようになりました。Colatina市の市民はSérgio Meneguelli氏を「最高の市長」と称えています。
↓市民と一緒に診療の順番をまつSérgio Meneguelli氏
→ブラジルの政治腐敗は本当に深刻です。日本では考えられないくらいの金額の賄賂の授受がありますし、政治家は基本大金持ちです。(日本以上に)市民の生活とはかけ離れたところにいるのが、ブラジルの政治家です。そんな中でこのSérgio Meneguelli氏の態度は本当に立派だと思います。こういう政治家が増えてくれれば、ブラジルの政治もちょっとは良くなるのでは、、、と思いたいです。
記事引用元Melhor prefeito do Brasil inaugura escola rural com dinheiro do carnaval – Diário do Brasil
4)ブラジルの歯科医、低所得者に笑顔を届ける
ブラジルの歯科医Felipe Rossi 氏、ブラジルおよび世界を旅しながら、歯科治療をうけることのできない低所得者むけに、無料で歯の治療・矯正をしています。
Felipe Rossi 氏はPor1SorrisoというNGOを立ち上げ、Colgateというオーラルケア用品の会社のサポートや、友人たちの支援、また寄付等をうけ、歯科治療にアクセスできなかった低所得者層に治療ができるようにしました。
Felipe Rossi 氏は「私たちは全ての人を歓迎します。政府や教会とは関係がありません。全ての人に笑顔を与えたいのです。」と語っています。
→ブラジルは公立の医療は無料ですが、歯科は含まれていません。歯科は基本全て全額自費負担での治療となるので、低所得者は歯科に行くことができないこともあります。
また、歯列や歯に対する意識は日本よりはるかに高く、歯並びや歯の黄ばみ等に非常に厳しいです。歯を気にして上手く笑えないという人もいるくらいです。全ての人に笑顔を届けるこのプロジェクトは素晴らしいなと思いました。
記事引用元ONG oferece tratamento dentário gratuito a populações carentes - Notícias - R7 Saúde
5)12歳の少年、遠足に行くお金がない友人のために、お小遣いを寄付する
友情は永遠!
サンパウロにあるBragança Paulista公立学校、カタベント博物館とサッカー博物館への遠足が計画されていました。参加するために、各生徒は交通費として45レアル(約1350円)を支払う必要がありました。※4回まで分割可能とのこと
しかし、その学校に通う生徒Iago君の家族は、それを支払うことが出来ませんでした。両親ともに失業中、兄弟は5人おり、とてもそのお金を工面することができなかったからです。
それを知ったIago君の友人・Matheus君は、誕生日でもらった35レアル(約1050円)を友人のために使うことにしました。 Matheus君は母親に理由を述べさらに10レアルをもらい、支払いをすませ、Iago君が遠足に参加できるようにしました。
遠足に参加できることを知ったIago君は大喜び。Matheus君は「友達といけるので、もっとうれしい。僕たちは、4年間も一緒に勉強しているし、毎日学校に一緒に歩いて行ってるよ」と話しています。
↓左がIago君、右がお小遣いを寄付したMatheus君
→尊い子ですね。たった45レアル(約1350円)が払えない家庭が、ブラジルには結構あります。45レアルを4分割の支払いで受け付ける事からも、想像できるかもしれませんね。(45レアルを一回で支払うのがキツイ家庭も多いのです)
貧しい人も多いけれど、助け合いの精神も根付いたブラジル。(貧富の差をなくし、こんな状況にならないようにする事が一番大事だと思いますが)みんなが支えあえる社会であったらいいなと思います。
まとめ
いかがでしたか?こういうニュースが世の中にもっと増えてくれればいいな、と思います。
ブラジルは超格差社会で、経済的弱者は生きていくのが厳しいのですが、同時に弱者を見捨てない・見てみぬふりをしない社会でもあります。誰かが必ず助けてくれます。
物質的な豊かさは、日本とブラジルでは比べることができないほど差がありますが、それでも日本もブラジルから学べることが、たくさんある気がします。