ブラジルに来て早7年。ブラジルにいる日本人からは、「ブラジルの物価は日本並に高い」とも「ブラジルは安くて生活しやすい」という両方の声が聞こえてきます。
では実際のところどうなんでしょうか。
この【ブラジルの生活費】シリーズでは、一ヶ月の生活費を衣食住他、日用雑貨・教育費等に細かく分けて、だいたいブラジルの生活費は実際にいくらぐらいかかるのかみていきたいと思います。
第二弾は教育費編です。
ブラジルの公立の学校
ブラジルの学校システム
まずはブラジルの公立高校の費用を語る前に、ブラジルの学校システム全般について説明します。
ブラジルは小学校から高校までが義務教育です。(ただし高校は途中で行くのをやめる人が結構いる)
EnsinoFundamental(日本でいうところの小学校・中学校)で9年間、Ensino Medio(日本でいうところの高校)で3年間学ぶ、9-3制です。
日本と大きく違うのは、(日本でいうところの)小学校・中学校は私立公立問わず、朝と昼の2部制、公立高校は朝と昼と夜の3部制になっていること。
※私立の高校では、高校も朝と昼の2部制である場合がほとんどです
公立高校が3部制になっているのは、高校生になると家計を助けるため、フルタイムで働きに出る子が結構いるからです。
私立高校にいけるような家庭の子は、高校時代に(少なくともフルタイムで)働く必要がないので、夜の部がある私立の高校はほとんどありません。
日本では私立受験を除き、高校から受験して入学することがほとんどですが、ブラジルでは小学校から高校まで入学試験はありません。
公立学校の費用
公立校では、全て無料で教育をうけることができます。
日本のように学区制をとってないことがほとんどなので、気に入った公立校を選んで通うことができます(ただし人気の公立校は、早くに募集人員がうまってしまうことが多く、競争倍率は高い)
教科書も基本的には無料です。
ユニフォーム代のみ払う必要がありますが、市によっては(家計収入が低ければ)無料で提供してくれるところもあります。
※ブラジルのユニフォームは日本に比べるとかなりシンプルで、Tシャツとスパッツやジャージという組み合わせであることがほとんどです。
義務教育ではありませんが、幼稚園も大学も、(国)公立校は無料です。
ブラジルの私立の学校
私立学校の費用
これは、本当にピンキリです。
かなり安いところもあれば、ブラジル人の平均月収の3倍以上するような月謝の学校もあります。
一般的な私立学校の値段は以下の通りです。※1レアル約30円
・幼稚園(朝もしくは昼の半日)-600レアル=18000円/月
・EnsinoFundamental(朝もしくは昼の半日)-800レアル=24000円/月
・Ensino Medio(朝もしくは昼の半日)-1000レアル=30000円/月
これに私立の場合は教材費がかかってきます。
・幼稚園-500レアル=15000円/年
・EnsinoFundamental-700レアル=21000円/年
・Ensino Medio-1000レアル=30000円/年
ユニフォームも自費です
どのくらいユニフォームを買うかによりますが、Tシャツ+ズボンを3セット・ジャージやパーカー等上着を2着買って、だいたい300レアル=9000円程度です。
(ブラジル)私立校と公立校の違い
教育レベル/設備
当然私立の方が断然教育レベルも設備レベルも高いです。
ブラジルは公立校のレベルがとにかく酷く、日本の普通の公立校の教育レベルを受けさせようと思うと、必ず私立にいれる必要があります。
※どのくらいブラジルの教育がひどいか書いた記事があるので興味がある人はぜひ
ブラジル永住組みの日本人はまだしも、ブラジル駐在組み(企業命令等でブラジルに滞在している)で公立校を選択した人を私はみたことがありません(笑)
特に高校は日本でいうところの「学級崩壊」をおこしているところも多々あります。
公立校優遇制度
公立校、特に公立高校はレベルが酷いですが利点もあります。
国立大学に入るとき、公立高校出身者だと有利に働きます。
(ブラジルではサンパウロ大学を始めとして、国立大学が最高峰です。)
例えば、大学合格点が私立出身者だと80点・公立校出身者だと70点というように、公立校出身者をなるべく合格させるような入試システムがとられています。
※話はそれますが黒人優遇策もあり、黒人だと国立大学に入るとき有利に働くようになっています。
レベルの高い公立高校もある。でも・・・
基本的に、公立高校のレベルは酷いです。ですが、理系の生徒であれば公立校でも良い教育を受けることもできます
Institute Federalと呼ばれる技術系の公立高校は、非常にレベルが高いです。ただし、この学校に入るには、高校でも入試を通過する必要があります。(先ほども書きましたが、ブラジルでは高校も義務教育なので高校入試なしで高校に入れる)
ここがブラジル教育の闇なのですが、Institute Federalに入る子の9割は、私立の小・中学校出身者です。要するにそれなりにお金のある家庭の子たちということです。
そしてInstitute Federalは公立高校なので、上でも書きましたが国立大学に入るとき優遇政策を受けることができます。
理系の子であれば
私立の小・中学→Institute Federal(公立)→国立大学
というのが、一番学歴的には楽に(いわゆる)勝ち組になる道です。
公立校優遇制度は、本来であれば財政的にめぐまれない子たちに門戸を開くためのものでしたが、結局は私立の小・中学校にいけるような家庭の子達が利用するシステムになってしまっています。
習い事の値段
今までは、通常の学校の費用についてみていきましたが、ここからは習い事の値段です。ブラジルで一般的な習い事の費用についてまとめました。
英会話
もうピンキリですが、CCAAやWIZARDといった大手英会話学校でだいたい週1回二時間のレッスンで、350レアル/月です。これに教材費がかかってくるので、実質的には400レアル/月くらいです。
バレエ
学校と提携して習うことが多く、週1回1時間で80レアル/月ほど。これに衣装代がかかってきます
水泳
週1回2時間で100レアル/月ほど
ピアノ・ギター(楽器)
週1回2時間で200レアル/月ほど。楽器類は日本のだいたい3割増しくらいの値段だと思ってください。
カポエイラ
ブラジルオリジナルの武術。学校と提携して習うことが多く、週1回1時間で80レアルほど。これに道着がかかってきます。
総括
日本レベルを求めると日本より高い、でも無料で教育をうけることはできる。
日本の公立校のレベルの教育をうけるために、ブラジルではお金を払う必要があります。(日本の公立校は実質無料ではありませんが、中学までは月謝等を払う必要はありませんよね。)
こう考えると、ブラジルの教育費は日本より高いと言わざるをえません。
ただし、ブラジルの公立でも良いと考えるのであれば、全て無料で教育とうけることができます。
習い事も、余裕のある家庭の子達がやるものなので、日本に比べると安いですが、ブラジルの給料等考慮にいれると、結構高いです。