ブラジルにいると全く実感がないのですが、2019年10月1日、日本で一部商品を除き、消費税が10%にあがりましたね。
ツイッターやネットでの反応を見ると「ややこしい」とか「社会保障を充実させるためといいながら、全然社会保障が充実してきてない」とか、不満の方が多いように感じます。
皆さんはどう感じていますか?
もしも増税が「ややこしい」とか「消費税が高すぎる」と思っているあなた。そんな日本なんか、赤ちゃんレベルに感じる国があります。
それはブラジルです。
今回は、ブラジルの税のうち、日本でいうところの「消費税」に近いものをピックアップしてご紹介します。※消費税という名目ではないのですが、商品やサービスを消費する都度に払う税金なので、消費者側からすると、日本の「消費税」に性質が近いです。
比べてどうこう言うつもりもありませんが、これを見ればまだ日本はましなのかなと思えるかもしれませんよ!
ブラジルの税金
仕組み
ブラジルで、サービスを受ける・商品を購入した時に、2つの税金を払う必要があります。
連邦税と州税です。
連邦税はいわゆる国税に近く、州税は地方税に近いものだと理解してください。
日本の消費税も(軽減税率のぞき)国税部分が7.8%、地方税部分が2.2%の計10%ですが、それと似ていますね。
ブラジルも何かサービスや商品を購入するたびに、連邦税と州税を支払う必要があります。
※ここで言う連邦税と州税とは、日本でいう「消費税に近い性質のもの」です。IPIを連邦税、ICMSを州税としてかいています。便宜上「消費税」とまとめます
州税
基本的にどのサービスや商品にもかかってきます。州によって若干の違いはありますが基本は
州税=18%
です。(州によっては17%や19%のところもある)スーパーで購入する食べ物に関しては、ものによって7%や5%、もしくは税金なしとなりますが、基本は18%かかってきます。
これは、レシートに特に記載がなければ18%で、税率が低いものに関してはちゃんと記載されますので、分かりやすいです。
連邦税
問題は、こちら連邦税。ものすごーく、細かく分類されています。
例えば魚にかかる税金の項目。魚の種類はなんなのか、その魚がどのように流通するのか(生鮮食品としてなのか、加工されてなのか等)で、税金がちがってきます。
連邦税の詳細は全443ページにわたるレポートで知ることができますが、そのページ数からどれだけ細かく分類されているか分かると思います。
レシートをみても、一々何パーセントの連邦税が支払われているか書かれていません。
このリンクから、物品ごとの税金が見られるので、どれだけボリュームがあるか知りたい方はぜひ。TIPI.pdf — Receita Federal
ブラジルの消費税・具体例
1)文房具を買った場合
このレシートは、文房具屋でファイルや画材を購入したときのものです。
総支払額は564.40レアル(約17,000円)
連邦税として70.81レアル(約2,125円)/州税として95.95レアル(約2,879円)払っています。支払い額・約17,000円に対し、税金は5,004円ほど。
約29.5%を税金として支払っていますね。
ちなみに、ブラジルは文房具が日本に比べて非常に高いです。
2)靴を買った場合
このレシートは、靴屋のものです。
総支払い額は129.98レアル(約3,900円)
連邦税として12.02レアル(約360円)/州税として22.1レアル(約663円)払っています。支払い額・約3,900円に対し、税金は1,023円ほど。
約26%を税金として支払っています。
3)ビールや食品を買った場合
このレシートは、スーパーのものです。
総支払い額は35.99レアル(約1,080円)
連邦税として8.53レアル(約256円)/州税として5.45レアル(約164円)払っています。支払い額1,080円に対し、税金は420円ほど。
約39%を税金として支払っています。
ビールが殆どなので、税金が高いですね(ビールは連邦税分が高いのです)
レシートを見ても、連邦税・州税の合計金額は分かるけど、各々の商品でいったいどのくらいの連邦税がかかったのかは見えてきません。
4)トイレットペーパーを買った場合
トイレットペーパーを買ったレシートが手元にないのですが興味深い記事があります。
コチラの記事、タイトルは「ブラジル・10個のトイレットペーパー、少なくとも3個は税金」
Brasil: A cada 10 rolos de papel higiênico, pelo menos três ficam para os impostos - Celulose Online
記事によると、トイレットペーパーを買うのに、少なくとも32.55%の税金を払う必要があるとのこと。
これ、誇張でもなんでもなく事実です。ブラジルではお尻をふくのに32.55%分も税金を払う必要があるんです。
貧富の差がとにかく激しいブラジル、お金持ちにとってはその32.55%分の税金はなんともないお金でしょう。でもブラジル人の大半を占める、最低賃金の1,000レアル/月(約3万円)で働いている人、もしくは最低賃金すらもらっていない人にとっては大きな負担となります。しかもブラジルは紙製品が高い!
貧乏人は、お尻を新聞でふけってことですかね?
あ、新聞も結構高いから、貧乏人はウンコするなってことですね!
ブラジルの消費税の問題点
1)とにかく高い
州税がそもそも18%ほどと、それだけでも日本の消費税よりはるかに高いです。
それに、連邦税が加わってきます。
連邦税は物によって税率が違いますし、何をどれだけ買うかは人によって違うので一概にはいえませんが、体感的には消費支出全般にたいして25~30%位を税金として収めている感じがします。
2)分かりづらい
連邦税の物品の分類が非常に細かく、レシートでその分類が全く見えてこないので、何に対してどのくらいの税率がかかっているのか分かりづらいです。
3)支払った税金が社会に還元されない
消費税に限った話ではないのですが、税金はそもそも、社会福祉や公共サービスに使われるために徴収されますよね。ブラジルは上記でもわかるように、非常に消費税が高いです。それにも関わらず、公立の学校レベルは低く、公立の医療は無料とはいえ質が低く、道路に穴があいても何ヶ月も修復されないといった状態です。たくさん払っているのに、それが社会に還元されていないのです。
その理由は、政治家の汚職やシステムの非効率さと様々です。
ちなみにですが、ブラジルの政治家の汚職、これも日本なんて赤ちゃんレベルと思えるほどケタが違います。億レベルの汚職事件、しょっちゅう起っています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ブラジルと比べれば、ややこしくなんて全然ないですし、高くもないですよね。少なくとも公立学校は普通に機能していますし、道路に穴があいたり公園の遊具がこわれてるのに何ヶ月も放置というのはないですし、税金として払った分はある程度還元されているように感じます。
ブラジルに住めて幸せですし大好きな国ですが、社会システムに関してはとてもほめられたものじゃないな、といつも思います。
日本の皆さん、これを見たら日本に希望がわいてきませんか!?(笑)
ただ、このまま社会システムの改革なしに、増税増税を繰り返していたら、日本もいつかブラジルのようになってしまうかもしれないな~と、地球の裏側から傍観しております。