「ボディポジティブの大波は、コマーシャルにも」とは?
世界的なボディ・ポジティブの波が、ブラジルのコマーシャルにもきています。
ボディ・ポジティブとは「自分のありのままの体形や見た目を受け入れる」ということ。画一的な美の観点に当てはめる社会的圧力をなくそうと、世界的に大きなムーブメントとなっていますね。
ここ数年のブラジルのコマーシャルでも、太い人・体に傷のある人・腋毛やすね毛のある女性等が起用されるようになりました。特に体型の太い人を起用するのは一種の流行のようにもなりつつあります。
下にある映像は、女性用シェーバーのGilette Venusの2018年のコマーシャルです。
妊娠している人・体型の太い人・タトゥーがたくさん入った人・(いわゆる)普通体型の人等、今までの女性用シェーバーでは絶対に見れなかった人たちが出演しています。
※今までの女性用シェーバーといえば、モデル体型の背が高く細い人たちがおきまりのように出演していました。
今回は、ボディ・ポジティブを意識したこのコマーシャルの背景と、それに対するブラジル人の反応をまとめました。
ブラジル人の反応と解説
ポジティブな反応
上記の公式チャンネルのものだと
・どんな体型も賞賛されるべき
・ブラジル女性は美しい
・とても先進的
・妊娠した体型って素敵
というとてもポジティブなものが並んでいます。
ネガティブな反応
公式チャンネルではポジティブなものしか見つけられなかったのですが、その他のこのコマーシャルについて言及しているYouTubeチャンネルでは、批判的なものもありました。
・サブリナさとう(上記コマーシャルで主役の女性・当時妊娠中・日系ブラジル人)を起用するなんて馬鹿げている
→サブリナさとうさんは、エンタメ業界で最も成功した日系ブラジル人の一人です。ただし胸もお尻も整形済みです。また男性目線でのセクシー兼お馬鹿タレントという感じで人気がでたという面もあります。(現在はセクシータレントというより、司会業や自身が立ち上げたブランドのビジネス展開が主力)
ボディ・ポジティブを意識したコマーシャルなのに、自然美ではない人を起用すること等に疑問をいだく声はいくつかありました
・太りすぎは健康じゃない
→今回のコマーシャルでは、かなり太めの体型の女性が出演しています。太りすぎが賞賛されることを心配する声もいくつかありました。
・人種の多様性がない
→今回のコマーシャルで、黒人系女性が採用されていないことを言ってるのだと思います。
ブラジル・ボディポジティブの波に思うこと
体型にも多様化の波
今回ご紹介したコマーシャルは、体型の多様化をブラジル社会が受け止めようとしている表れですね。
個人的にボディ・ポジティブの運動は素晴らしいものだと思います。「女性は(男性は)こうなくてはならない」という既成概念から抜け出そうという意識の高まりは、たくさんの人々(特に女性)を救うのではないでしょうか。
一過性のブームではなく、これが「当たり前」になるといいなと思います。
ブラジルの体型事情
ちなみに、ブラジルの洋服店では「普通体型のマネキン」と「ぽっちゃり体型のマネキン」がおいてあるところが多いです。これはボディ・ポジティブ運動が活発化する前からなのですが、ブラジルには「ぽっちゃり体型」の女性が多いので必然的にそうなったのだと思います。※法律でぽっちゃり体型マネキンが義務付けられていると聞いたこともあるのですが、その文面は探すことができませんでした。
少し前にスポーツブランドの「ナイキ」が、店頭でぽっちゃり体型のマネキンを置いたことが話題になりましたが、ブラジルはその一歩先を既にいっていたようです(笑)
ブラジルも日本と同じく、雑誌やテレビで「痩せる特集」が組まれることが多々あります。ただ、ブラジルの場合は「(とても)太い」から「(いわゆる健康的な)普通」体型を目指すところが、日本と違うところかなと思います。
また、人種も多様なブラジルでは、それぞれ生まれ持った体型が全然違うので、体型の受け入れの幅は(日本と比べると)元々大きい気がします。
まとめ
とりあえず、どんな人も自分らしくいられる・いやすい社会であってほしいと思います。体型だけでなく、肌の色が違ったり、信仰や考え方が違ったり、性別が色々であったり、それらの事が「ただ違うだけ」と理解できる社会になったらいいな、といつも願っています。