ブラジルで最も盛り上がるお祭りといえばカーニバルです。
日本でもリオのカーニバルはとても有名ですね。
今回は、そんなブラジルのカーニバルを楽しむための5つのポイントをご紹介します。
ブラジルのカーニバルパレードは単なる謳って踊るお祭りではありません。チーム対抗の熾烈な戦いの場でもあります。1年をこのカーニバルパレードに捧げている人もたくさんいます。
ブラジルのカーニバルパレードについて知ってからカーニバルを見てみると、きっと違った見え方ができるとおもいますよ。
1)カーニバルの基本知識
カーニバルとは?
カーニバルとは謝肉祭のこと。
日本語でカーニバルというと、華やかなパレードを思い浮かべる人が多いと思いますが、パレードそのものを指す言葉ではありません
元々はラテン語のcarnem(肉)levare(取り除く)が由来です。
キリスト教では、イースター(=復活祭)という祭日の前40日は、静かに慎ましく過ごし、肉を食べないことで心身を清めるという期間になっています。その肉断をする前に、思いっきり楽しんでしまおうというお祭り、それがカーニバルなのです。
カーニバルはリオだけにあらず
日本でカーニバルというと、リオデジャネイロで開催される「リオのカーニバル」が有名ですね。
ですが、カーニバルのパレードが開催されるのはリオデジャネイロだけではありません。経済都市サンパウロでも、北部のバイーアでも、南部のリオグランジドソルでも、主要なブラジル各都市でカーニバルパレードが開催されています
ブラジルのカーニバル
先ほども書きましたが、カーニバルとは謝肉祭というキリスト教の祭りです。
キリスト教国家では、カーニバルをそれぞれの方法で祝いますが、ブラジルのカーニバルといえばもちろんサンバですよね。
アフリカ系奴隷が生み出した特徴的なリズムです。
カーニバル(謝肉祭)があり、それに20世紀ごろからサンバが加わり、今のブラジルのカーニバルのスタイルになっていきました。
今の日本ではカーニバル=サンバのイメージが強いですが、あくまでブラジルのカーニバルということですね。
カーニバルの日程
カーニバルはイースタの前40日。イースターの日付は毎年変わるので、カーニバルの時期も変わりますが、2020年は2/21~2/26です。2021年は2/12~2/17です。
リオのカーニバルパレードのメインの日程は、2020年は2/21~2/24の4日間。優勝チームいよるスペシャルパレードが2/29に行われます。
2)カーニバルパレードは戦いの場
カーニバルパレードはコンテスト
ブラジルのカーニバルといえば、日本人にとってはやっぱり「リオのカーニバル」がおなじみでしょう。
たくさんのダンサーや打楽器隊、大規模な装飾品に彩られた華やかなパレード映像を見たことがある人は多いはず。
このカーニバルスタジアム(※)で行われるカーニバルのパレードは、出演者や関係者にとって単に踊って謳って楽しむものではありません。
「エスコーラ・デ・サンバ(=サンバ学校)」というコミュニティ単位でパレードに参加して、その出来を競うコンテストでもあります。
リオの場合、コンテストの優勝賞金は1000万レアル(約3億円!)
各エスコーラ・デ・サンバのプライドと意地と金をかけた、熾烈な競技会でもあるのです。
※ブラジルでは各地に「カーニバルのためだけに作られたスタジアム」があります。リオのカーニバルパレードの会場はサンボドロモ(Sambodromo Marques de Sapucai)といい、なんと7万人(!)も収容できるようになっています。
リーグ戦
リオのカーニバルは
- 最もレベルの高いスペシャルリーグが13チーム
- 次にレベルの高いAリーグが9チーム
- その次のBリーグが11チーム
と、昨年の採点結果によりリーグわけされています。
採点結果により、各リーグの上位と下位2チームが入れ替わります。
サッカーJリーグのようですね。優勝をかけて戦うチームもあれば、上位リーグに行くために戦うチームもあります。
コンテストがシビアな競技会の場だという事がわかりますね。
上位リーグにいくほど、市からの補助金が多くなったり、スポンサーがつきやすくなるので、どのチームも常に上位リーグを目指しています。
チーム構成
ルール説明の前に、各エスコーラ・デ・サンバのチーム構成を紹介します。
映像とあわせつつ、読んでみてください。
コミソン・デ・フレンテ
⇒先頭の挨拶部隊
ポルタ・バンデイラ
⇒チームの旗をもち全体を率いる女性ダンサー。チームの顔。
メストレ・サーラ
⇒ポルタ・バンデイラとともにダンスを踊る男性ダンサー
バイアーナ
⇒回りながら踊るダンサー
バテリア
⇒打楽器部隊
パシスタ
⇒派手な衣装をきたサンバダンサー
アレゴリア
⇒装飾された山車
アーラ・コムン
100人~200人で構成される一般グループ。1つのチームに複数のグループが存在し、グループごとに異なった衣装をまとい、バイアーナやバテリア、アレゴリア等間を埋め、パレードを練り歩く
カーニバルコンテストのルール
※リオのカーニバルのルールです。会場によりルールに違いがあります。
- 765mの会場を65分以上82分以内に参加者全員が通過する
- 山車は8台以上12台以下
- 1チーム2000人以上4000人以下
- バテリアは最低200人以上
コンテストの採点項目
1)メストレ・サーラとポルタ・バンディラ
上記のチーム構成で紹介した、旗をもって踊るポルタ・バンデイラとメストレ・サーラのダンスが採点されます。
2)コミソン・デ・フレンテ
上記のチーム構成で紹介した、先頭の挨拶部隊のダンス等が採点されます。
3)ファンタジア
チーム全体の衣装の出来が採点されます。テーマに沿っているか、ユニークさ優美さが評価されます
4)アレゴリアとアデレッソ
アレゴリアは山車、アデレッソはそれに施す装飾です。これも採点の対象です。
5)バテリア
上記のチーム構成で紹介した、バテリア(打楽器部隊)の演奏が採点の対象になります。
6)サンバ・エンヘード
各チームのテーマ曲と歌詞、そしてメロディーが評価されます。
7)アルモニア
全体のバランスが評価されます。
8)エヴォルソン
全体の流れが評価されます。
9)コンジュント
全体の一体感が評価されます。
10)エンヘード
パレードのテーマが評価されます。
上記10項目が採点され、優勝チームや上位・下位リーグへの昇格降格がきまります。
3)カーニバルに参加するには
カーニバルに参加するというとき、主に3つのことをさします。
①カーニバルスタジアムのパレードに参加する
先ほども買いましたが、カーニバルスタジアムでのパレードは、「エスコーラ・デ・サンバ(=サンバ学校)」というサンバコミュニティ単位で行われます。というわけで、どこかしらの「エスコーラ・デ・サンバ」に属していないと、このカーニバルスタジアムで行われるカーニバルパレードに参加することはできません。
一見ハードルが高そうに見えますが、各エスコーラごとに一般枠をもうけており、お金を払えば衣装をきてパレードを歩くことができます。(参加料・大体1000レアル~2000レアル。日本円で3万~6万円くらいですね)
この方法でカーニバルに参加するには、現地ブラジルの旅行代理店にアレンジを頼むのが一番簡単です。(もちろん、ブラジルに知り合いがいれば、直接エスコーラと連絡をとってもらうことも可能です)
HISはサンパウロやリオデジャネイロに支店を持っていますので、問い合わせてみてはいかがでしょうか?
②カーニバルスタジアムのパレードを観覧する
カーニバルスタジアムのパレード観覧も、カーニバルに参加する1つの方法です。
実際にスタジアムに足を運ぶと分かりますが、観客の熱気も含めてのコンテストです。実際にパレードを練り歩かなくても、十分参加した気になると思いますし、なにより山車やパレード全体の構成を見ようと思うと、むしろ観覧席からの参加の方が良いかもしれません。
個人で席を手配することもできます。リオデジャネイロのカーニバルであればこちらからチケットを購入することができます。値段は観覧席や日程により違いがあり、安くて49レアル(約1470円)、最も高いもので2300レアル(約6万9000円)です。
日本からであれば、航空券等も全て含まれたツアーもおすすめです。
③路上のカーニバルパーティーに参加する
カーニバルスタジアム以外にもカーニバルを楽しむ方法があります。
ブロコという路上のカーニバルパーティーに参加する方法です。参加者はお酒を片手に、思い思いの格好(仮装)をし、パーティーを楽しみます。
自由にわいわい騒ぎたい人には、こちらの方がスタジアムより楽しいかもしれません。
Agenda dos Blocos de Rua do Rio em 2020 - Diário do Rio de Janeiro
4)カーニバルのトリビア
カーニバル嫌いなブラジル人も結構いる
カーニバルはブラジルの重要な文化の1つです。
特にスタジアムのカーニバルパレードは、各エスコーラが真面目に社会テーマを考え表現する、とても真剣に真摯に取り組んだ芸術の結晶です。
ただカーニバルが嫌いなブラジル人も「かなり」います。
スタジアムのパレードが嫌いなのではなく、ブロコ(路上カーニバル)が嫌いな人が多いのです
カーニバル期間中は、街中でもカーニバルのパーティーが催され、街の色々な場所でサンバのリズムに合わせて、人々が思い思いの格好をして自由に楽しみます。当然お酒も入るので、酔っ払いがらみの揉め事もチョクチョクおこります。そういった乱痴気騒ぎに嫌気がさしたり、人ごみをさけて、カーニバル期間中は街を離れる人が結構いるのです。
カーニバルにあわせてコンドームの無料配布がある
カーニバルはブラジルで最も盛り上がるおまつりです。路上のカーニバルパーティーでは当然お酒も入りますし、盛り上がりすぎて、父親のわからないカーニバルベイビー誕生なんてことも。また、性感染症予防のためにも、カーニバル期間中はコンドームがばら撒かれます。
初めてブロコのカーニバルパーティーに参加したとき、バンドが乗ったトラックからコンドームが文字通り「ばら撒かれる」瞬間を見たときはちょっと衝撃的でした(笑)
5)サンバダンサーのすごさ
下の映像は、ブラジル最大手のテレビ局グローボが毎年カーニバルにあわせて作る、イメージ映像です。
これは2015年の映像です。グローボ主催のサンバダンスのコンテストで優勝した方が、キラキラのボディペイント(ほぼ裸!)でサンバを踊っています。
ただただ凄いの一言。
ほぼ裸なのに、いやらしくない。サンバダンスで鍛え上げられた肉体が、美しいです。
サンバダンスの凄さを知ってから、カーニバルパレードを見ると、また違った見方ができるのではないでしょうか。
これが夜間でもない時間帯に、公共の電波にのって放送されていました。日本で放送したら、色々いわれそうな気がします。下の映像は、日本では念のため公共の場での視聴は避けたほうがいいかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
カーニバルは、もちろん見ているだけでも華やかで見ごたえがあるものですが、 ルールやチーム構成を知ってから見てみると、今までとは違った見方ができると思います。
カーニバルは、一部のブラジル人にとっては人生そのものです。
カーニバルが終わるや、すぐに次の年のカーニバルにむけての準備を始めるような人生を送っている人もいます。
たかがカーニバル、されどカーニバル。
今年もカーニバルまで1ヶ月をきりました。ぜひ、このプライドをかけた戦いを楽しんでください!
日本ブログ村に参加をはじめました。ポチっとしていただけると、うれしいです!